脳脊髄液減少症であることを公表している理由は、ひとえに、多くの方にこの病気を知って欲しいからです。
現在この病気にはたくさんの問題点があります。
そして問題のいくつかは、病気の認知度が上がることで解消すると考えています。
例えば、
〇お医者さんでも知らない方が多く、なかなか病名にたどり着くのが困難なこと
〇MRIにはほとんど写らず、異常を見つけるのが困難なこと
〇病名にたどり着けずに、ドクターショッピングになる人が多いこと
〇半数以上の人が、保険適用でブラッドパッチを受けられないこと
〇呼び名が3種類あって、混乱すること
〇髄液が増えるメカニズムがわかっていないこと
〇髄液を増やす薬はないこと
〇人によって症状や体力が違い、治療法の王道が確立できないこと
〇普通に働くことが困難でも受けられる公的支援が生活保護しかないこと
(障害者手帳がある方・障害年金が受けられる方は別です)
〇ブラッドパッチに設定された保険点数が低く、実際にブラッドパッチにかかる人件費や費用に足りず、患者が増えるほど病院が赤字になること
この中でも、病名にたどり着くのが困難なことが、最も問題だと私は思っています。
でも、この病気を知っている人が増えれば、巡り巡って、病名に辿り着けていない人にも、この病気の情報が届き、彼らが治療ができるようになるかもしれません。
特に、今、原因不明の頭痛やめまいで学校に行けない・学べない子どもたちが、治療にたどりついて、学校に行けるようになってほしいと願っています。
私は学校で働いていたので、退職する時に、同僚にも、この病気のことを話しました。
ある時から毎日、原因不明の頭痛で学校に通えない生徒がいて、私にこの病名がついた時に
「もしかしたらあの子もそうかもしれない」
と思ったのです。
学校現場にいる同僚なら、原因不明の頭痛やめまいで悩む子どもたちに
「こんな病気があるよ。もしかしたらそうじゃない?脳外科に行ってみたら?」
と声をかけてもらえるかもしれない、と期待しました。
しかし返ってきたのは
「お医者さんが原因不明と言っているのを、こちらからこの病気ではないか、とは言いにくい」
という言葉でした。
それでは、すぐ近くにいる人は病名、という答えを持っているのに、当の頭痛やめまいで悩んでいる子どもは、いつまでも答えにたどり着けないまま、時間が過ぎて行ってしまいます。
それならば、自分でこの病気の認知度を上げる行動しようと思いました。
学ぶことや友達を作ることそのものは、学校でなくてもできますが、学校という決められた枠の中で、仲間と共に学び、友達を作り、部活に打ち込み、体育祭や合唱祭といった行事を協力して作り上げる経験は、人生の限られた時間でしかできません。
学校に行きたくなくて行かない選択をしている子どもは、自分の選択を大切すればいいと思います。
でも行きたくても行けないを余儀なくされている、この病気の子どもたちが、治療にたどり着いて、学生である間の限られた時間を、充実して過ごしてほしいと願います。
そしてかつての私のように、長年の体調不良でも、なんとか学校に通い続けている子どもや、仕事に行き続けている人も、治療にたどり着ければ、今よりももっといろんなことに挑戦できるし、「なぜみんなには普通にできることが、私にはできないの?」と自己肯定感を下げずにすみます。
私自身が11歳から23年間、原因不明の、めまいを中心とした体調不良と共に生きてきて「この不調に答えがあるなら早く知りたい」と何度も思っていました。
病名にたどり着いて、点滴の治療ができるようになるだけで、本当に体調が変わる、できることが増える、と自分の経験から思うのです。
というのは、点滴加療を始めてしばらくの後「今まで私が『体力のフル充電』だと思っていた状態は、70%しか充電されていなかったんだ」と気づきました。
同時に「こんなに元気ならなんでもできる!この元気が若い時にほしかった」と思いました。
あなたの周りに、毎日の頭痛やめまいで悩んでいる人はいませんか?
悩んでいる人がいたら「こんな病気があるみたいだよ、脳外科にいくといいかもしれないよ」と教えてあげてもらえたら、嬉しいです。
私の病気「脳脊髄液減少症」について
症状の改善に効果があったこと